「推しが残って嬉しいはずなのに、なぜか素直に喜べない」
「番組としては盛り上がったけれど、バンドとしてこれで正解だったの?」
2025年12月16日に生放送された『STEAL HEART CLUB(スハクル)』第9話。
ファイナリスト15名が決定し、いよいよデビューメンバー決定へのカウントダウンが始まりました。
しかし、放送終了後のSNSを見渡すと、そこにあるのは歓喜の声だけではありませんでした。
「納得できない」「モヤモヤする」といった複雑な感情が、ファンダム全体を覆っているように感じます。
なぜ、今回のセミファイナルはここまで視聴者の評価を二分してしまったのでしょうか?
この記事では、第9話で起きた出来事を「感情」と「仕組み」の両面から整理し、私たちが抱いた違和感の正体について考えてみたいと思います。
※具体的な脱落者や進出者の詳細リストは、[速報記事(記事Aへのリンク)]でまとめています。
「納得」と「モヤモヤ」が同時に押し寄せた生放送の構造
第9話を見終えて、まず感じたのは「疲労感」だったという方も多いのではないでしょうか。
それは単にハラハラしたからというだけでなく、番組の審査構造がドラスティックに変化したことに起因しています。
今回のセミファイナルで評価が割れた最大の要因は、結果そのものよりも、そこに至る「プロセス」への違和感でした。
生放送×オンエア投票が可視化した「ファンダムの力」
今回のミッションは「トップラインバトル」。
4つのチームが楽曲を披露し、生放送中のリアルタイム投票(オンエア投票)と審査員評価で順位が決まりました。
ここで視聴者が直面したのは、「音楽的な完成度」と「人気の差」のズレです。
これまでの放送でも人気投票の要素はありましたが、生放送でのリアルタイム投票は、ファンダムの熱量がダイレクトに数字として反映されます。
X(旧Twitter)上では、「実力があるチームよりも、人気メンバーがいるチームが有利に見える」といった声が多く見られました。
バンドとしてのグルーヴや演奏技術よりも、「個人の人気」が勝敗を決定づけてしまう構造が露骨に見えてしまったことで、「これはバンドオーディションなのか、アイドル選抜なのか?」という根本的な疑問が再燃してしまったのです。
「天国と地獄」を分けたベネフィット設計
さらに拍車をかけたのが、1位チームへの「ベネフィット10,000点」という巨大な加点です。
今回、日本人メンバーのケイテンさんやハギワさんが所属する「어느 여름날의 궤도(ある夏の日の軌道)」チームが見事1位を獲得し、メンバー全員がファイナル進出を決めました。
これは素晴らしい快挙であり、賞賛されるべき結果です。
一方で、この「チーム全員生存」というルールが、他のチームとの間に残酷なほどのコントラストを生みました。
僅差で敗れたチームからは、確かな実力を持ちながらも脱落せざるを得ないメンバーが出現。
視聴者からすれば、「あの演奏をした彼が落ちて、なぜ?」という納得感の欠如に繋がりました。
勝者への祝福と、システムへの不満。
この相反する感情を同時に処理しきれなかったことが、放送後の「モヤモヤ」の正体の一つと言えるでしょう。
マシャの辞退がもたらした「空白」と感情の行き場
そして、第9話の空気を決定的に変えてしまったのが、ベーシスト・マシャさんの「自発的な辞退」でした。
突然の喪失感が変えた番組の温度
番組内では、マシャさんが本番前に自らの意思で番組を去る決断をしたことが伝えられました。
具体的な理由について公式からの詳細な発表はありませんでしたが、視聴者の間では以前から体調を気遣う声や、記録的な大雪などの環境面を心配する声が上がっていました。
理由はあくまで推測の域を出ませんが、確かなのは、彼の辞退が視聴者の「感情の行き場」を奪ってしまったという事実です。
これまでの『STEAL HEART CLUB』には、参加者同士がキャンプのような雰囲気で音楽を作り上げる、ある種の「平和な空気感」がありました。
しかし、マシャさんの辞退によって、その前提が崩れたような衝撃が走りました。
「投票で応援しよう!」と意気込んでいたファンにとって、戦う前に選択肢が消えてしまった喪失感は計り知れません。
「運営批判」ではなく「やるせなさ」
SNSで「運営はどうなっているんだ」という強い言葉が見られたのも、誰かを攻撃したいわけではなく、「このやるせなさをどこにぶつけていいか分からない」という悲鳴に近いものでしょう。
マシャさんの辞退スピーチは非常に感動的で、彼の人柄が滲み出るものでした。
だからこそ、「彼がステージに立てない状況」そのものへの悔しさが、番組全体への重たい空気として残ってしまったのです。
日本人メンバーの快挙と「温度差」の正体
今回の第9話は、視点を変えれば「日本人メンバーが大躍進した神回」でもあります。
「어느 여름날의 궤도」チームの1位獲得により、ケイテンさん、ハギワさん、オダジュンさんが揃ってファイナルへ。
特にケイテンさんのギタープレイや、ハギワさんのドラムは審査員からも高く評価されました。
本来であれば、日本の視聴者にとっては「お祭り騒ぎ」になってもおかしくない展開です。
しかし、タイムラインの温度感は一定ではありませんでした。
「ボイプラ路線」への懸念と期待
ここでキーワードとして浮上するのが、過去のアイドルサバイバル番組(BOYS PLANET等)との比較です。
番組が終盤に近づくにつれ、初期の「音楽スタジオのドキュメンタリー」のような雰囲気から、徐々に「人気投票サバイバル」の色が濃くなってきました。
- A層(アイドルサバイバル好き): 「推しをデビューさせるために投票を頑張る!」と熱狂する。
- B層(バンド音楽・実力重視): 「人気だけで楽器隊が選ばれて、良いバンドになるの?」と冷める。
この2つの層の間で、大きな温度差が生まれています。
日本人メンバーの活躍は嬉しい。
けれど、同時に実力ある職人肌のメンバーが姿を消していく現状に対し、「手放しで喜んでいいのか?」というブレーキがかかってしまう。
「推しは残ったけれど、番組の方向性が心配」という声は、この番組を愛しているからこそ生まれる、非常に健全で切実な意見だと言えます。
ファイナルに向けて|私たちが「見たい」ものは何なのか
様々な感情が渦巻く中、ファイナル投票(12月16日〜22日)はすでに始まっています。
次回の生放送で、ついにデビューメンバーが決まります。
不安の先にある期待
視聴者が今、最も不安に感じているのは「最終的に出来上がるバンドのバランス」でしょう。
人気投票の結果だけでメンバーが決まったとき、ボーカルと楽器隊の相性は合うのか?
音楽的な化学反応は起きるのか?
しかし、それでも私たちがファイナルを見届けようと思うのは、残った15名の参加者たちへの期待があるからです。
ボイプラ出身で「2度目のチャンス」に懸けるイ・ユンチャンさんの底力、圧倒的なビジュアルとボーカル力で注目されるリアンさん、そして快進撃を続ける日本人メンバーたち。
彼らは、大人が作った「システム」の中で、必死に自分たちの音楽を表現しようとしています。
「正解」はステージの上にある
第9話で評価が分かれたのは、それだけ視聴者がこの番組に「本気」だった証拠です。
賛否両論ある審査方法でしたが、選ばれた15名に罪はありません。
ファイナルで私たちが求めているのは、納得できる審査システム以上に、「このメンバーなら最高の音楽が作れる」と思わせてくれる、圧倒的なステージです。
モヤモヤした気持ちも、不安も、すべてを吹き飛ばすような演奏を期待して、最後の一瞬まで彼らを見守りたいと思います。
出典・参考リンクまとめ
【番組公式・配信情報】
- ABEMA番組トップ:STEAL HEART CLUB
- 第9話 放送ページ:ABEMA K WORLDチャンネル
- Mnet Japan:番組公式サイト
- 公式プレスリリース:PR TIMES
【報道・ニュース(事実確認元)】
- スポーツ韓国(順位・辞退情報):STEAL HEART CLUB 関連報道
- 毎日経済(放送内容詳細):STEAL HEART CLUB ニュース
- 朝鮮日報(英語版):Show Report
【視聴者反応の引用】
- X(旧Twitter)ハッシュタグ:#STEALHEARTCLUB #스틸하트클럽

STEAL HEART CLUB(スハクル)はABEMAで見ることが出来ます!


